Dear Okinawa,

2021/04/09 09:38


沖縄本島の北部に位置する大宜見村(おおぎみそん)は、青い海と緑に囲まれ“長寿の村”や“沖縄一のシークヮーサーの産地”として知られています。

 そんなのどかな大宜味村にやちむん工房を構える「田村窯」は、大阪出身の田村将敏(たむらまさとし)さんと、愛媛出身の麻衣子(まいこ)さん夫婦が営む工房です。

実は将敏さんは、アパレルや雑貨を扱うセレクトショップの元販売員。

当時はスーツを担当していましたが、雑貨セクションで扱っていた沖縄の焼きもの“やちむん”に興味を惹かれるように。

「力強くて大らかで自由な感じが他の焼き物とは違って、ものすごく惹かれました」と将敏さん。接客業に疲れを感じはじめていたこともあり、ファッション業界から転身を志すことに。

29歳の時に沖縄に移住をし、その翌日から読谷村の北窯で修行をはじめました。

一方、地元で事務員をしていた麻衣子さんは、29歳の時にもともと興味があったという陶芸の道へ進むことを決断。当時通っていたギャラリーのオーナーの紹介で、北窯で修行することが決まりました。30歳を目前に「今やらないと!と思いました」と麻衣子さん。

 将敏さんは北窯の宮城正享さんの元で6年間、麻衣子さんは松田米司さんの元で3年間修行を積み、2010年にふたりで独立。

将来的に登り窯をつくることを考えていた田村さんは、それが叶う広い敷地で、尚且つ煙を出しても近所迷惑にならないこの場所に工房を構えました。

5年かけて作った登り窯は、2020年の年末に完成。現在は灯油窯で焼いていますが、今年の秋頃に“初窯”を予定しているそうです。

 伝統の技法や柄を現代風にアレンジした“モダン風”なやちむんも人気ですが、田村窯では昔ながらの素材を使い、伝統的な技法を受け継いで作陶を続けています。

「やちむんは、いい意味でゆるい感じがします。400年以上も続く伝統工芸品なのに『こうじゃないとダメ』という決まりが少なくて、応用範囲が広い感じがするんです。

 私たちは県外出身者ですが、せっかく沖縄に移住をしたので、これからも“沖縄の伝統的な焼き物”を目指していきたいと思っていて、毎日使うものだから、使いやすさの向上も心がけています」と将敏さん。

 伝統に忠実でありながら、古臭さはまったく感じられず、現代の暮らしにもよく馴染む田村窯の器。

描かれている絵柄は、力強さの中に大らかさも感じられ、ぽってりとした厚手の器からは土の温かみが伝わってくるようです。

「やちむんは“健康美”ですよね。昔は、畑に毎日持って行ってガンガン使うものだった、と北窯の親方から聞きました。

とても丈夫で実用的なものだったんです」とやちむんの魅力について麻衣子さんはこう話します。

 現代の暮らしにも違和感なく溶け込む田村窯の器は、実はお手頃価格。

見た目だけでなく、初めてやちむんに触れる方、家族全員分揃えたい方、日常使いの器を探している方に優しいやちむんです。

 

Photo &text:舘幸子